「住む家決まったよ。」巣立った子どもから聞くこの言葉から賃貸アパートでの暮らしが始まることは多いと思います。そして衣・食・住のどれにこだわって人生を送るのかによっても持ち家(分譲)を考える時期は違うと思います。
賃貸と分譲では、分譲の方が設備等のグレードが高い傾向にあるのは間違いないと言えます。賃貸経営の大家さんは不動産ビジネスとして運営しているので、投資費用はできるだけ抑えて利幅を確保したい原理があるためです。
それでも賃貸と持ち家では、生涯掛かる経費はほぼ同等という試算もあるようです。(引越し費用含まず)同じ費用を掛けるのであれば、自由に気兼ねなく住まえるのと、借り物として気をつかいながら住まうのとでは、どちらに住まいたいでしょうか。
少なくとも独身時代は背負うものも荷物も少ないので、気軽かも知れません。しかし所帯を持つと背負うものや荷物は気軽な量ではなくなります。
ここでは気軽と言われる賃貸生活の実態について、確認していきたいと思います。
住み替えは気軽なのか
住み替えに掛かる手間と費用
賃貸のメリットとして、ライフスタイルやライフステージに合わせて気軽に住み替えできるとよく目にします。
ところで、住み替えは本当に気軽でしょうか。
賃貸物件を契約するには、敷金、礼金、仲介手数料、前家賃、当月分の日割り家賃、管理費、保証料など、全てではないかもしれませんが費用が掛かってきます。概ね家賃の5ヶ月分前後と言われているようです。
駐車場の賃貸が必要性であればその分も掛かりますので、住み替えには相当の費用負担がのしかかります。
ここではそれぞれ詳細について確認していきます。
継続的に掛かる費用
賃貸物件
賃貸物件では毎月の費用として次の費用が必要になります。
- 家賃
- 大家さんによる管理費
- 車を所有の場合には駐車場代
また賃貸アパートでは2年ごとの契約ですので、契約更新毎に更新料が必要になります。しかし場合によっては更新料不要という物件もあるかも知れません。
持ち家
持ち家戸建てや分譲マンションは家賃の代わりに住宅ローンを支払う場合が多いかと思いますが、その他にも様々な費用が発生します。しかしマンション販売会社等は敢えて詳しい説明はしてくれないので、自分で調べて準備しておく必要があります。
- 住宅ローン(完済までは大変ですが)
- マンションでは管理会社への管理費
- 駐車場代(持ち家戸建ての場合は不要)
- 固定資産税
- 修繕費用(修繕積立金)
ここで「あれ?持ち家の方が支払いの項目が多い?」と思われるかと思います。
しかし、賃貸物件でも固定資産税や修繕費用は必要となります。大家さんが家賃収入からまとめてに支払ってくれているだけなので、家賃に含まれていることになります。
初期費用(入居時)
賃貸物件の契約時に「敷金」「礼金」「仲介手数料」という言葉は良く出てきます。この言葉の意味合いや裏側はあまり知られていないことと思います。ここで簡単に説明させて頂きます。
敷金(保証金)
敷金は保証金といった言葉に置き換えれる場合もあるかもしれませんが、大家さんによる「預り金」となります。
この預り金は、家賃の支払いが滞る時や退去時の現状回復補修・クリーニング費用といった費用に充てられます。退去時の立会いで退去費用(原状回復・クリーニング等)が伝えられますが、敷金から余った分は返金されます。
そのため、最近よく見かける敷金ゼロの物件ならば、入居時には安い費用で入居できますが、退去時に現状回復やクリーニング費用が掛かるので注意が必要です。
礼金・仲介手数料
仲介手数料は不動産会社の大事な収入源であり、入居者の他に大家さんからも仲介手数料は発生しています。
また礼金は大家さんへ支払うものとの意味合いですが、入居率を上げるために礼金ゼロとしているケースはあるようです。
退去時の費用
先の項目でもご説明しましたが、入居時の敷金ゼロの物件では注意が必要です。
入居者が退去するとき、現状回復工事とクリーニングの費用が掛かりますが、本来であれば入居時に支払っている敷金から賄われます。しかし、その預り金が無いということは退去時に費用が掛かるということになります。
住み替え費用
引越し費用
住み替えをするには引越しをすることになりますが、引越し準備と費用はどうでしょうか。
住み替え費用
では、住み替えに掛かる費用は総額いくらくらいになるのでしょうか。
仮に家賃10万円とした場合、不動産契約費用として約5か月分として約50万円、引越し費用として十数万円から20万円近く、その他家電買い替え費用なども含めると100万円近くは掛かる計算になりそうです。
老後の心配
人生には様々なライフステージが訪れます。子どもが巣立ち、夫婦二人の生活となるライフステージもあれば、だんだんと歳を重ねて定年退職というライフステージもやってきます。
そうした場合に、賃貸物件の場合であれば住み替えというのも選択肢のひとつに考えられると思います。そうした場合に年齢が進めば進むほど、物件探しで難航するケースが想定できます。
要因としては「家賃の問題」「近隣トラブル」「火災のリスク」などいろいろあるようですが、あまり年齢が進まないうちに、最終的な物件探しを将来設計しておく方が良さそうです。
その点において持ち家は、将来の家があるという精神的安心感は、精神衛生上にも大事なことと言えると思います。