「やっと見つけたね。この家が終の住まい!」これは誰しもが家を買う時には願っていることかと思います。そして理想の家を手に入れている人もいるかと思いますが、理想と実際が違ったなんて後悔している人がいることも事実であるかと思います。
住宅購入は人生の中での最大の買い物であるので失敗しない家探しをしたいが、失敗しないためには事前に何を検討してどんな物件を探せばよいのか分からない、という人もいるのではないでしょうか。
私の場合はマンション購入は衝動買い的な勢いに流されたので、何も検討せず無知のままモデルルームを訪問したのが最大の失敗事例であります。
しかし、仕事柄様々なお宅を拝見し学ばせて頂きながら自宅購入案件を検討考察し、お施主さんの見聞を伺い、建築業者・有資格者としての見解を重ね合わせ、自宅購入案件を後追いながら検証してきました。
結果論ですが、建築的視点からは早目の年齢のうちに決めた自宅のマンション購入案件は失敗ではなかったと思っています。ただ、金融的視点から見た資金計画や住宅ローンの検討は、再考の余地はあったと思います。
この記事はこんな人におすすめです。
ここでは、皆さまにはいつ家を買うか失敗しない判断を後押しできるよう、自宅マンション購入判断の流れ(キッカケ)を経験談としてご紹介していきます。
マンション購入を決めた時期とキッカケ
賃貸ではなく持ち家を選んだわけ
人それぞれ「衣・食・住」について、どこに重きを置くかの「こだわり」はあると思います。私の場合はそれが「住」であり、建築の道を目指すキッカケでもありました。
住まいにこだわりたいのであれば、何かと不自由な賃貸物件での永続的な生活は不向きであると考えています。
そもそも賃貸物件はオーナーさんがいて、オーナーさんがビジネスとして運営されている建物ですので、設備費や維持費といった経費は極力安く抑えることが大前提としてあります。
雨風しのいで寝ることができれば良いならば、持ち家にこだわる必要性はないと思います。ですが、住まい方について何かしらのアイデンティティ(自分らしさ)を求めるのであれば、持ち家を選択することをお勧めします。
持ち家として戸建てではなくマンションを選んだわけ
私の人生プランとして考えていたこととして、子どもがあまり大きくならないうちに生活の拠点(持ち家)を確立したいという思いがありました。ですが、持ち家としてマンションを選んだことにはいろいろな偶然がありました。
これまで戸建て住宅での生まれ育ちでしたので、漠然と”マンション”というものにも住んでみたいと思っていました。また、防音性能や住居の気密性などアパート生活に不満を感じていましたので、気密性の高い鉄筋コンクリート造であるマンションには興味を感じていました。
マンションの魅力・特長と言えば
- 優れた防音・断熱性能
- 効率的な空調環境
- 老後を見据えたワンフロア・バリアフリー生活
- 生活の便の良い場所に立地することが多い
- 高所からの眺望(魅力と感じるかは人による)
といった魅力がまずあげられます。
とは言え、最近の戸建て住宅では防音・断熱性能や空調環境はかなり進歩していると思います。ですが、老後を見据えて生活の便の良い立地でワンフロア・バリアフリー生活まで実現できる戸建て住宅(平屋建)は現実的には難しいのではないでしょうか。
物件を購入を考えたタイミング
いつ家を買うのか、購入を考えるタイミングは人それぞれのライフステージによってさまざまあるかと思います。
参考までにマンション販売会社の人にはこのように助言されました。
最初のタイミングは20代中盤から30歳前後までといいます。なぜならばこの年代は社会人経験も序盤から中盤に差しかかり、人生設計も安定してくる時期です。そして住宅ローンを35年組むと想定すると、定年から逆算して30歳前後までが最初のタイムリーな購入期ということです。
その後は子育て期に入り出費がかさむ年代に入りますが、40代後半から50歳前後が次のタイムリーな購入期になります。子育てを終えて30歳前後の頃よりも昇給して生活に余裕が出てくるころに、短期ローンで(場合によっては親御さんと二世帯で)払い切る事例が多いです。
私の場合は前者のパターンですが、現実的には賃貸物件で子育てをしながら住居購入の資金を貯めていくことは困難だと考えています。タイミング的にも子どもが小学校入学前の時期で、できるだけ転校せずに済むようにしたいという意思も物件決めを後押ししたキッカケでもあります。
マンション購入を先延ばしてきた人たちの聞こえる惨状
先のマンション販売会社の人による助言の中で、後者のパターンを選択していた場合どうなっていたでしょうか。
厚生労働省の資料によると、まずは日本の給与水準は30年前とあまり変わらない、むしろ下がっているのではと見てとれます。(厚生労働省による下記の資料参照)
この時点で販売会社の人のセールストークである、「50歳頃には昇給して」という物件購入の前提が無くなってしまいます。
出典:平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|厚生労働省
しかも物件の販売価格そのものも、分譲マンションの投函チラシを見ている限り、十数年前と比べて1.5倍くらいにはなっていると感じています。
その要因しては次のことが考えられます。
- 資材の価格高騰
- 人手不足による人件費の高騰
- 燃料費の高騰による物流費の高騰
- 円安傾向による輸入品の入手困難または価格高騰
実際に国土交通省の資料によると、マンションの価格は2013年からの10年間で約1.6倍に急騰していることがデータでも表れています。特にマンションと戸建て住宅との最近の10年間での価格差の乖離が顕著になっていると読み取ることができます。
出典:国土交通省『不動産価格指数、住宅は前月比 0.2%上昇、商業用は前期比 0.9%上昇』
まとめ
新築マンションが価格高騰するということは、中古マンションを検討する人も増えてくるということでもあります。
そこには資産としてのマンションの評価も関係してきますので、住まいに何を求めるのかがより一層大事な検討事項となってきます。