【マンション】選んではいけない部屋とは|灼熱の盾となる部屋がある事実

最上階は下層の盾部屋との覚悟なら 住まい方比較
太陽の盾となる部屋は...
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最上階は下層の「盾部屋」との覚悟なら

「マンションなら眺望が良い最上階が良いかな」マンションの検討過程で出てきそうな会話だと思います。

これはこれで正解の一つではありますが、「あること」を知らないと今後の生活に大きな影響を及ぼす不正解ともなり得ます。

その「あること」とは…

コンクリートは夏は熱くて冬は冷たい

階数にしても、方角にしても、これを知っているだけでマンションの部屋選びは大きく変わってきます。

ここでは実際に住んでみた感想も踏まえて、階数・方角選びで後悔のないよう解説していきます。

この記事はこんな人におすすめです

新築マンションでは区画が選べるが故に、どこを申し込むか迷ってしまいます。この記事ではどこの階数、またはどの方角を選択したら良いか、解説していきます。

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実際に住みやすい階数は

最上階は本当に住みやすいのか

コンクリートは巨大なカイロ

マンションを検討するのであれば、せっかくならば戸建てにはない眺望の良さを満喫したいという希望は良くある話だと思います。

かと言って「最上階」という選択肢はどうなのでしょうか。

建築学を学んだ私個人的な意見としては「NO」です。

なぜなら、コンクリートは蓄熱する容量が大きいことによります。

灼熱で熱せられたコンクリートの絵

熱を放射するコンクリート

それはどういうことかと申しますと、灼熱の日光によって熱せされたコンクリートは躯体に熱をため込みます。躯体にため込む容量が大きいので、一度温められたコンクリートはなかなか冷めません。

参考までに、コンクリートは躯体が温まるまでにたくさんの熱量を吸収しますので、冬は温まりにくいという裏返しの特徴につながります。

さて、「一度温められたコンクリートがなかなか冷めない」ということはどういうことでしょうか。

身近な例に置き換えると、コップのお湯を温めるのと大浴場のお風呂のお湯を温めるのとでは、どちらか早く温まりますか?もしくはすぐ冷めますか?

同じことをコンクリートに置き換えると、容量が満タンになり熱くなったコンクリートは、冷えるまではカイロや湯たんぽのように放熱し続けることを意味します。

最上階では屋根(天井)全面に常に巨大なカイロを擁しているわけです。

同様に、西日を浴びて熱せられた西側の壁は壁面全体にカイロを擁し、夜間にかけて放熱し続けていきます。

空気は優れた断熱材

コンクリートに断熱効果がないことは前段で説明しました。

では断熱材として思い浮かぶものが何がありますか。グラスウールや発泡ウレタンなどが思い浮かぶと思います。

断熱材としてのグラスウール例

グラスウール例

断熱材としての発泡ウレタン例

発泡ウレタン例

いずれも、乱暴な言い方ですが平たく言ってしまえば、空気の層を形にしたものであります。そうです、空気です。

二重サッシやペアガラスも、断熱効果を高めるために、空気を閉じ込めた窓サッシの製品です。

素材別熱伝導率一覧

素材別熱伝導率

少し専門的にはなってしまいますが、熱伝導率(熱の伝わり方)は空気はコンクリートの1/66しかなく、空気は最高レベルの断熱材と言えます。ということは、最上階を巨大な空気層と考えると…

最上階は灼熱からの下層の盾となるフロアと認識して入居しないと後悔につながります。

最上階の一つ下の階が上階希望の中では暮らしやすいのではないでしょうか。

どの階をチョイスすべきか

正解はありません

最上階だけは避けた方が良いことは、前述で説明しました。眺望の優先順位が高いのなら、最上階の一つ下の階が無難なところではないでしょうか。

それ以外では、上階には上階の、下階には下階のメリットとデメリットがあります。希望する生活スタイルの中で何を優先に考えるかで選ぶ部屋は変わってきます。

低層階のメリット・デメリット

低層階では良くも悪くも近隣や沿道・出入口に近い事があります。災害時には避難経路に近いため最短で屋外へ逃げることができます。しかしセキュリティの面では不審者の侵入を招きやすいという表裏一体の裏面もあります。

メリット

専用庭付きの部屋を選択できる

一階が専用庭付きマンションの利点として、戸建てに似た生活を取り入れることができるため、マンション生活の不便さを幾分か解消できます。庭遊びができる喜び、ガーデニングを楽しむことができるのも魅力です。ただし虫との共存は対処が必要です。

地上への用事(駐車場等)への気軽さ

私自身、車への忘れ物などのちょっとした用事で一階へ降りることがよくあります。しかしその度にエレベーターに乗るということが意外と面倒臭く、後でまとめてでいいか、となることがあります。車も生活の一部ですから、目が届きにくいところにあるとなかなか不便な事があります。

デメリット

外部の音

道路や公園など近隣環境に近いので、車の音や公園の遊び声など外周音が気になる可能性があります。私自身、壁の薄いアパートに住んでいた頃、屋根や壁に打ち付ける雨風の音で目が覚めたという経験があります。近隣駐車の車から漏れるカーステレオの重低音による空気の振動を、室内でも感じたこともあります。

セキュリティ

セキュリティのALSOKによるHOME ALSOK研究所の資料によると、全侵入窃盗犯罪のうち、一般戸建てや3階以下の共同住宅といった低層の住居建物で40%近い被害が出ています。

侵入窃盗の発生場所別割合

侵入窃盗の発生場所別認知件数(令和4年)

引用:ALSOK「HOME ALSOK研究所」侵入窃盗の発生場所別認知件数より

低層建物の侵入経路としては表出入口(玄関ドア)の他、ベランダをつたって窓からの侵入が多く報告されいます。

一戸建てにおける侵入口別侵入手口

一戸建てにおける侵入口別侵入手口

共同住宅(3階以下)の侵入口別侵入手口

共同住宅(3階以下)の侵入口別侵入手口

引用:ALSOK「HOME ALSOK研究所」侵入窃盗の侵入口別侵入手口より

低層階では災害時の避難の面で利点がありますが、その反面防犯の面では特に注意が必要と言えます。

上層階のメリット・デメリット

メリット

外部の音

上階では雨音等の外の音を感じにくい傾向があります。道路の車の音や公園の遊び声も低層階よりは緩やかな傾向にあります。

蚊は10メートル程度(約3階)までしか自力では飛んでこられないと言います。ただし風に乗って4階以上の高さまで舞い上げられてしまう恐れもありますので、川沿いや公園などの近くでは特に油断できません。

デメリット

災害時の避難

子連れファミリーや高齢世帯では災害時に地上へ逃げるのが遅れてしまう可能性があります。

エレベーターの有無

停電時などの時、上階まで帰るのは肉体的負担は低層階の比ではありません。子連れ世帯や高齢世帯では尚のこと上下移動の負担は大きくなってきます。

風の強さ(洗濯物)

地上でさほど風の強さは感じなかったものの、部屋に上がってくると上空の風が強く、洗濯物をベランダに干しっぱなしにすることに抵抗を感じます。実際に飛ばした経験もあり、今や部屋干しメインをメインにしています。

特にタワーマンションでは、以下の理由から洗濯物を外に干すことは禁止されているケースが多いようです。(そもそもベランダ自体無い所もあるようです。)

    1. 飛来による事故防止。特に布団などの大きな物が高所から落下すると大惨事となるため。
    2. タワーマンションはステイタスを売りにしている場合が多く、生活感が出てしまうと品位が下がるなど外観上の観点から。
セキュリティ

4階以上の住居で最も多いのは表出入口(玄関ドア)からの侵入ですが、意外にも上層階でも窓からの侵入が多いのが伺えます。

これは上層階だからとの油断による窓やドアの鍵の閉め忘れによるもの、そこへ付けこんだ非常階段や屋上からロープを伝ってのベランダからの侵入が多いためと言われています。

共同住宅(4階以上)の侵入口別侵入手口)

共同住宅(4階以上)の侵入口別侵入手口)

引用:ALSOK「HOME ALSOK研究所」侵入窃盗の侵入口別侵入手口より

上層階でもオートロックマンションだからと油断せず、最上階は特に屋上からの被害の危険性が高いことを認識しなくてはなりません。

部屋の方位による居住性の違い

当然のことながら、太陽は東から上り南を経由して西に沈みます。その中で、分譲区画されているマンションでは日の出から日の入りまで一日中、陽を浴びられる部屋は一般的にはまずありません。

大抵の場合

  1. 朝を中心に陽を浴びる(東向き採光)
  2. 日中を中心に陽を浴びる(南向き採光)
  3. 夕方を中心に陽を浴びる(西向き採光)
  4. ほとんど日が入らない(北向き採光)

のどれかだと思います。角部屋では1と2、または2と3という場合もあるかと思います。

そのため、部屋の方位によって住まいの壁がどの時間帯でカイロと化すかによって、住み心地は大きく変わってきます。当然エアコンの効き方も変わってきますので、掛かる電気代も変わってくることでしょう。

壁がカイロと化してしまうことの大変さは上段で説明していますので、ここでは方位による住み心地について説明します。

南向き東側角部屋の実感

夏場の猛暑日、玄関を開けた瞬間僅かながらですがヒヤッとした空気を感じるのはコンクリート造で東側の部屋ならではの幸せだと思います。

これは東側壁面は比較的涼しい午前中を中心に陽を浴びて、ある程度壁面は熱せられますが、午後から日陰となり、熱をもった壁がだんだん冷め始めてきます。

南側に太陽が回っても、南側にはベランダがあり庇の役割を果たしているため、部屋の中までは日差しは入って来ません。庇(ベランダ)には屋内の温度上昇を緩やかにする効果があります。

そうこうしているうちに陽は西側に回り、東側の壁が冷め始めてきたらこっちのモノ。アスファルトやコンクリートの輻射熱で熱せられた外気よりも、冷め始めたコンクリートに囲まれた室内の方が温度が低くなれば、午後外出から帰ってきても家の中は僅かながらですが、ヒヤッと感じます。

外から帰った時の幸せの瞬間です。

西側の部屋では

同じ理論からして、おそらく西側では夕方まで西日を浴びたコンクリートの壁が熱を持って、室内に入るとモワッとしていることと推察できます。熱を放出するのは夜にかけてになりますので、寝苦しい部屋となることは想像に難くありません。

南側の部屋では

南側の部屋では太陽が最も高い位置にある時に採光を得る形になります。太陽が高い位置にあるので、陽が室内へはあまり入りません。南側はベランダが出ていることも多いでしょうから、庇が出ていれば一層遮光効果が高くなります。

(参考)中部屋では

マンションでは一番端の部屋に当たる角部屋が人気が高いかも知れません。しかし両側を隣家の部屋に挟まれた中部屋のお宅では住み心地はいかがでしょうか。

空気は最高の断熱層であることは、上段でも説明しました。両隣に採光の断熱層の部屋を有しているのですから、夏は気温が上がりにくく冬は気温が下がりにくい、エアコンの効きも効率良い、住むのには快適であると思います。

一面はベランダ面が外に面していることが多いと思いますが、東側や南側であれば、暑い時間帯の採光は部屋にはあまり入りませんので、比較的快適な空間になると思います。

マンションで暑さから守られた部屋の探すのであれば、西側角部屋よりも中側の部屋を選ぶ方が快適に住まえると言えます。
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